終身型医療保険の全て:一生涯続く安心を徹底解説
突然の病気やケガによる入院・手術は、誰にとっても大きな不安材料です。そんな医療リスクに備えるための医療保険の中でも、「終身型医療保険」は一度加入すれば一生涯保障が続く商品として人気を集めています。しかし、保険料が高いというイメージから、躊躇している方も多いのではないでしょうか。
この記事では、終身型医療保険の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、選び方のポイントまで徹底的に解説します。「本当に終身型が必要なのか」「どんな商品を選べばいいのか」といった疑問を持つ方は、ぜひ参考にしてください。
終身型医療保険とは?基本を理解しよう
終身型医療保険とは、一度加入すれば保険料の支払いが終了した後も、一生涯保障が続く医療保険です。一方、定期型医療保険は10年や20年などの一定期間のみ保障があり、更新時に保険料が上がることが一般的です。
終身型医療保険の主な特徴は以下の通りです:
- 一度加入すれば、一生涯保障が続く
- 保険料の払込期間は60歳・65歳・70歳満了など選択可能
- 払込期間が終了しても保障は一生涯継続
- 定期型に比べて保険料は高め
- 長期間加入すると解約返戻金が発生する場合が多い
例えば、30歳の方が月額5,000円の保険料で65歳払込満了の終身型医療保険に加入した場合、35年間で総額210万円の保険料を支払うことになります。その後は保険料を支払わなくても、一生涯医療保障が続くのが終身型の大きな特徴です。
終身型医療保険の6つのメリット
1. 一生涯の保障で安心感が大きい
終身型医療保険の最大のメリットは、一生涯保障が続くという安心感です。若いときは健康でも、高齢になるほど病気やケガのリスクは高まります。特に医療費の自己負担が増える75歳以降も保障が続くため、老後の医療費に対する不安を軽減できます。
実際、厚生労働省の調査によると、70歳以上の入院率は若年層の2〜3倍になるというデータもあります。そのため、高齢になってからの医療保障は非常に重要なのです。
2. 保険料の払込期間を選べる
終身型医療保険では、保険料の払込期間を選ぶことができます。60歳満了、65歳満了、70歳満了など、様々な選択肢があり、自分のライフプランに合わせて設計できます。
例えば、収入が安定している間に保険料の支払いを終え、退職後の固定収入になってからは保険料負担をゼロにするという選択も可能です。老後の家計を考えると、この点は大きなメリットと言えるでしょう。
3. 高齢になっても保険料が上がらない
定期型医療保険では更新のたびに保険料が上昇しますが、終身型医療保険は契約時の保険料が変わりません。特に高齢になるほど医療リスクが高まり、定期型の更新保険料は大幅に上昇する傾向にあります。
例えば、30歳で加入した定期型医療保険の保険料が月額2,000円だとしても、70歳での更新時には月額10,000円以上になるケースも珍しくありません。終身型なら、この保険料上昇のリスクを避けることができます。
4. 解約返戻金が貯まる商品もある
多くの終身型医療保険には、長期間加入すると解約返戻金が発生します。これは、払い込んだ保険料の一部が戻ってくる仕組みです。特に払込期間満了後は、解約返戻金が払込保険料総額の50%以上になるケースもあります。
例えば、35年間で総額210万円の保険料を支払った場合、65歳時点での解約返戻金が100万円以上になる商品もあります。万が一の際には、この解約返戻金を活用することも可能です。
5. 高齢になってからの新規加入が難しい問題を回避できる
高齢になると健康状態の問題から、新規に医療保険に加入することが難しくなることがあります。終身型医療保険なら、若いうちに加入しておけば、健康状態が悪化しても保障は継続します。
50代や60代で初めて医療保険を検討すると、持病があると加入できなかったり、特定の病気が保障対象外になったりするケースが多いです。若いうちから終身型に加入しておくことで、この問題を回避できます。
6. インフレに強い保障設計が可能
医療費は将来的に上昇することが予想されます。終身型医療保険は、契約時の保障内容が一生涯続くため、将来的な医療費上昇(インフレ)に対しても一定の備えになります。
例えば、入院給付金が日額10,000円の保険に加入していれば、30年後の医療費が上昇していても、その給付金額は変わりません。これは、将来の不確実性に対する備えとして重要なポイントです。
終身型医療保険の4つのデメリット
1. 保険料が高い
終身型医療保険の最大のデメリットは、保険料の高さです。同じ保障内容でも、定期型に比べて1.5〜2倍程度の保険料になることが一般的です。
例えば、30歳の方が入院給付金日額5,000円の医療保険に加入する場合、定期型では月額2,000円程度ですが、終身型では月額3,500円以上になることもあります。この保険料の差は、家計に大きな影響を与える可能性があります。
2. 保障内容の見直しが難しい
終身型医療保険は、一度契約すると保障内容の大幅な見直しが難しいケースが多いです。医療技術の進歩や公的医療制度の変更により、将来的に必要な保障が変わる可能性もあるため、この点は注意が必要です。
例えば、加入時には想定していなかった新たな治療法や医療技術が登場しても、既存の保険ではカバーされない可能性があります。
3. 解約すると損失が大きい場合がある
特に加入初期(3年以内など)に解約すると、解約返戻金がほとんど発生せず、それまで支払った保険料がほぼ戻ってこない可能性があります。長期的な視点で加入を検討する必要があるでしょう。
例えば、3年間で総額18万円の保険料を支払っても、その時点での解約返戻金はわずか数万円、あるいはゼロということもあります。
4. 払込期間が長いと総支払額が大きくなる
終身型医療保険は払込期間が長いため、総支払額が大きくなります。例えば、30歳で月額5,000円の終身型医療保険に65歳払込満了で加入すると、総支払額は210万円になります。この資金を投資や貯蓄に回せば、もっと効率的な資産形成ができる可能性もあります。
特に若い方の場合、この総支払額の大きさは検討すべきポイントでしょう。
終身型医療保険の選び方:8つのポイント
1. 給付金の日額を適切に設定する
終身型医療保険を選ぶ際は、入院給付金の日額を適切に設定することが重要です。一般的には日額5,000円〜10,000円程度が選ばれますが、自身の収入や貯蓄状況に合わせて決めるとよいでしょう。
例えば、会社員で健康保険に加入している方なら日額5,000円程度、自営業者で国民健康保険の方なら日額8,000円〜10,000円程度が目安になります。過剰な保障は保険料の無駄になるため、適切な金額設定が重要です。
2. 払込期間を自分のライフプランに合わせて選ぶ
終身型医療保険では、保険料の払込期間を選ぶことができます。一般的には60歳満了、65歳満了、70歳満了などの選択肢があります。老後の収入や支出計画に合わせて、最適な払込期間を選びましょう。
例えば、定年が65歳の会社員なら65歳払込満了、自営業で70歳まで働く予定なら70歳払込満了というように、収入が安定している間に保険料の支払いを終えられるよう設計するとよいでしょう。
3. 特約の内容をしっかりチェックする
基本の医療保障に加えて、どのような特約が付けられるかも重要なポイントです。がん特約、三大疾病特約、先進医療特約など、自分のリスクに合わせた特約を選ぶことで、より安心できる保障を確保できます。
例えば、家族にがん患者がいる方はがん特約を、生活習慣病のリスクが高い方は生活習慣病特約を検討するとよいでしょう。ただし、特約を付けるほど保険料は高くなるため、本当に必要な特約だけを選ぶことがポイントです。
4. 無解約返戻金型か有解約返戻金型かを選ぶ
終身型医療保険には、「無解約返戻金型」と「有解約返戻金型」があります。無解約返戻金型は保険料が安い反面、途中解約しても返戻金がほとんどありません。一方、有解約返戻金型は保険料が割高ですが、途中解約した場合に一定の返戻金があります。
一生涯の保障を重視するなら無解約返戻金型、資産性も重視するなら有解約返戻金型を検討するとよいでしょう。自分の目的に合わせて選択することが大切です。
5. 保険会社の財務健全性をチェックする
終身型医療保険は一生涯の契約となるため、保険会社の財務健全性は非常に重要です。格付け機関によるA評価以上、あるいはソルベンシー・マージン比率が1000%以上の保険会社を選ぶと安心です。
また、保険金や給付金の支払い実績なども公表されているので、支払い率が高い保険会社を選ぶことも一つの判断材料となります。
6. 先進医療への対応を確認する
医療技術の進歩により、将来的には現在とは異なる治療法が主流になる可能性があります。特に先進医療は公的医療保険の対象外となるケースが多く、全額自己負担となるため、高額な医療費が発生することがあります。
先進医療特約が付いている医療保険や、先進医療に対応した保険を選ぶことで、将来の医療技術の進歩にも対応できます。
7. 保険料の払込方法を検討する
月払い、年払い、一括払いなど、保険料の払込方法によって総支払額が変わることがあります。一般的に、年払いや一括払いの方が月払いよりも割安になるケースが多いです。
例えば、月払いの場合、年間6万円の保険料でも、年払いにすると5万8千円程度になることもあります。可能であれば、年払いや一括払いを検討するとよいでしょう。
8. 契約条件の緩和型商品を検討する
健康状態に不安がある方は、告知項目が少ない「契約条件緩和型」の医療保険も選択肢の一つです。通常の医療保険に比べて保険料は高くなりますが、持病があっても加入できる可能性が高まります。
ただし、多くの場合、契約から1年間は支払いが制限される「1年間の不担保期間」が設けられているため、その点は注意が必要です。
終身型医療保険と他の保険タイプの比較
終身型医療保険と他の保険タイプを比較することで、その特徴がより明確になります。
終身型医療保険 vs 定期型医療保険
項目 | 終身型医療保険 | 定期型医療保険 |
---|---|---|
保険料 | 割高 | 割安 |
保障期間 | 一生涯 | 期間限定 |
更新時の保険料 | 更新なし(一定) | 上昇する |
解約返戻金 | あり(長期加入ほど多い) | 少ないか無し |
向いている人 | 一生涯の保障を希望する人 | 若年層、保険料を抑えたい人 |
定期型医療保険は保険料が安い反面、更新のたびに保険料が上昇し、高齢になると大幅に上がる可能性があります。また、保険会社によっては80歳や85歳で更新できなくなるケースもあります。
一方、終身型医療保険は保険料が高い反面、一度加入すれば一生涯保障が続くという安心感があります。また、長期間加入すると解約返戻金も増えていくため、資産性の側面も持っています。
終身型医療保険 vs 終身型生命保険
終身型生命保険は死亡時の保障が主な目的ですが、終身型医療保険は入院や手術など、生きている間の医療費負担を軽減することが目的です。両者はカバーするリスクが異なるため、どちらか一方ではなく、両方をバランスよく組み合わせることが理想的です。
例えば、若い世代では死亡リスクよりも入院・手術のリスクの方が高いため、医療保険に重点を置き、家族ができたタイミングで生命保険にも加入するといった設計がおすすめです。
終身型医療保険 vs がん保険
がん保険は、がんに特化した保険であり、がんと診断された時の一時金や、がんによる入院・手術の給付金が手厚くなっています。一方、終身型医療保険はがんを含むあらゆる疾病やケガによる入院・手術をカバーする保険です。
がんのリスクが特に心配な方は、基本の医療保険に加えて、がん保険も検討するとよいでしょう。ただし、保障が重複する部分もあるため、トータルでの保険料負担を考慮することが大切です。
終身型医療保険の活用例:年代別おすすめプラン
年代によって必要な保障内容や最適な保険設計は異なります。ここでは、年代別におすすめの終身型医療保険の活用例を紹介します。
20代〜30代前半:早期加入で保険料を抑える
この年代では、健康なうちに終身型医療保険に加入することで、保険料を抑えることができます。また、払込期間を長く設定することで、月々の負担を軽減することも可能です。
【おすすめプラン】
- 入院給付金:日額5,000円程度
- 手術給付金:基本的なもののみ
- 特約:先進医療特約(比較的保険料への影響が少ない)
- 払込期間:60歳または65歳払込満了
- 月額保険料目安:3,000円〜4,000円程度
20代で加入すれば、同じ保障内容でも30代後半や40代で加入するよりも保険料が安くなるため、早期加入のメリットは大きいと言えます。
30代後半〜40代:家族のための保障を充実させる
この年代では、家族ができるケースも多く、責任も増す時期です。基本的な保障に加えて、三大疾病などのリスクにも備えたプランがおすすめです。
【おすすめプラン】
- 入院給付金:日額7,000円〜10,000円程度
- 手術給付金:手厚いプラン
- 特約:三大疾病特約、先進医療特約
- 払込期間:65歳または70歳払込満了
- 月額保険料目安:5,000円〜8,000円程度
この年代では、医療保険に加えて、収入保障保険や死亡保険など、家族を守るための保険も検討すべき時期です。
50代〜60代:老後に備えた保障を確保する
この年代では、退職後の医療費負担に備える時期です。公的医療保険の自己負担割合が上がることも考慮し、手厚い保障を検討しましょう。ただし、年齢が高くなると保険料も高くなるため、保障内容と保険料のバランスが重要です。
【おすすめプラン】
- 入院給付金:日額8,000円〜12,000円程度
- 手術給付金:手厚いプラン
- 特約:三大疾病特約、先進医療特約、認知症特約
- 払込期間:80歳払込満了または終身払い
- 月額保険料目安:10,000円〜15,000円程度
この年代では、健康状態によっては契約条件緩和型の医療保険も選択肢となります。また、解約返戻金型の商品を選ぶことで、緊急時の資金としても活用できる可能性があります。
まとめ:自分に合った終身型医療保険を選ぼう
終身型医療保険は、一生涯の保障という安心感から、多くの方にとって魅力的な選択肢となります。特に以下のような方には、終身型医療保険がおすすめです:
- 一生涯の医療保障を確保したい方
- 更新時の保険料上昇を避けたい方
- 高齢になっても保険料負担をなくしたい方
- 長期的な視点で医療保障を考えたい方
一方で、保険料が高いというデメリットもあるため、自分の家計状況やライフプランに合わせて、慎重に検討することが大切です。
終身型と定期型のどちらが良いかは一概には言えず、それぞれの特徴を理解した上で、自分に合った選択をすることが重要です。保険のプロに相談することで、より最適な保険設計が可能になるでしょう。
「備えあれば憂いなし」という言葉があるように、将来の医療リスクに備えることは非常に重要です。この記事が、あなたの医療保険選びの参考になれば幸いです。
※この記事は情報提供を目的としており、特定の保険商品の勧誘を目的としたものではありません。実際に保険に加入する際は、各保険会社の商品内容を十分に確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。