障害年金とは?申請方法から受給条件、金額まで徹底解説
障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事に支障をきたすようになった場合に、生活を支えるために国から支給される公的な給付金です。働き盛りの方が突然の事故や病気で収入が途絶えた際のセーフティネットとして、多くの方の生活を支えています。
しかし、「障害年金の申請方法がわからない」「自分が対象になるのか不安」といった声をよく耳にします。この記事では、障害年金の基本から申請方法、受給条件、金額計算まで、あなたに必要な情報をわかりやすく解説します。
目次
- 障害年金の種類と対象者
- 障害年金の申請条件
- 障害等級とは?
- 障害年金の金額
- 障害年金の申請方法と必要書類
- 障害年金の審査期間と結果通知
- 障害年金が不支給になる理由と対処法
- 障害年金と他の制度の併用
- 障害年金に関するよくある質問
- まとめ:専門家に相談するメリット
障害年金の種類と対象者
障害年金には主に2種類あります:
1. 障害基礎年金
国民年金に加入している方が対象で、20歳前や学生時代に発生した障害も含まれます。すべての国民が対象となる基本的な障害年金です。
2. 障害厚生年金
会社員や公務員など、厚生年金に加入している方が対象です。障害基礎年金に上乗せして支給されるため、金額が多くなります。
どちらの年金を受け取れるかは、障害の原因となった病気やケガが発生した時点での加入制度によって決まります。例えば:
- 会社員として働いていた時に発症した病気による障害→障害厚生年金(+障害基礎年金)
- 学生時代や専業主婦(夫)の間に発症した病気による障害→障害基礎年金のみ
障害年金の申請条件
障害年金を受給するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります:
1. 保険料納付要件
原則として、初診日(障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診察を受けた日)の前々月までの公的年金の加入期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上必要です。
ただし、初診日が2026年4月1日前の場合は、初診日の前々月までの1年間に保険料の未納がなければ受給資格があります(特例措置)。
20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
2. 障害認定日要件
障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日、またはそれ以前に症状が固定した日)において、国が定めた障害等級(1級、2級、3級)に該当する障害状態であると認められること。
3. 請求時要件(事後重症制度)
障害認定日には障害等級に該当しなかったが、その後症状が悪化して障害等級に該当するようになった場合も、申請時点での障害状態に基づいて年金を受け取ることができます。
障害等級とは?
障害年金は、障害の程度によって等級が分かれています:
1級(最も重度)
日常生活に常時介護が必要な状態。例えば:
- 両眼の視力の和が0.04以下
- 両上肢の機能に著しい障害がある
- 精神障害により常時の介護が必要
2級
日常生活に著しい制限がある状態。例えば:
- 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下
- 一上肢の機能に著しい障害がある
- 精神障害により日常生活が著しく制限される
3級(厚生年金のみ)
労働が著しく制限される状態。例えば:
- 両眼の視力が0.1以下
- 一上肢の機能に相当程度の障害がある
- 精神障害により労働が著しく制限される
具体的な障害状態は、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に詳細に定められています。精神障害、内部障害、肢体不自由など、障害の種類によって認定基準が異なります。
障害年金の金額
障害年金の金額は、障害等級と加入していた年金制度によって決まります。
障害基礎年金(2025年度)
- 1級:年間 975,125円 + 子の加算額
- 2級:年間 780,100円 + 子の加算額
※子の加算額:18歳到達年度末までの子または20歳未満の障害等級1級・2級の子1人目・2人目は各224,900円、3人目以降は各75,000円
障害厚生年金(報酬比例部分)
基本的な計算式:
平均標準報酬月額×加入期間×障害等級別の乗率
- 1級:障害基礎年金 + 報酬比例部分×1.25
- 2級:障害基礎年金 + 報酬比例部分
- 3級:報酬比例部分(最低保障額 594,200円)
具体的な金額は加入期間や報酬額によって大きく異なりますが、例えば平均月収30万円で20年勤務した方が2級の障害厚生年金を受給する場合、年間約155万円程度になります(障害基礎年金を含む)。
障害年金の申請方法と必要書類
障害年金の申請は、住所地を管轄する年金事務所または市区町村の国民年金窓口で行います。
必要書類
- 障害認定日請求の場合
- 障害年金裁定請求書
- 障害の状態を証明する書類(診断書)
- 病歴・就労状況等申立書
- 戸籍謄本(基礎年金番号がわかる場合は不要)
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)
- 振込先金融機関の通帳またはキャッシュカード
- 事後重症請求の場合
上記に加えて、以下の書類も必要です:
- 障害認定日以後の治療経過がわかる書類(診療録(カルテ)のコピーなど)
- その他、状況に応じて必要な書類
- 子の加算を請求する場合は、子の戸籍謄本や住民票
- 初診日を証明する書類(初診日から相当期間経過している場合など)
- 所得証明書(20歳前傷病による請求の場合)
申請の流れ
- 必要書類を準備する
- 医師に診断書を作成してもらう
- 年金事務所または市区町村の国民年金窓口に請求書類を提出
- 日本年金機構で審査
- 結果通知
障害年金の審査期間と結果通知
障害年金の審査にかかる期間は、通常3~6ヶ月程度です。ただし、書類の不備や追加資料の提出を求められた場合は、さらに時間がかかることがあります。
審査の結果は「年金証書」または「不支給決定通知書」で通知されます。受給が決定した場合、原則として請求した月の翌月分から年金が支給されます。支給日は、奇数月(1月、3月、5月、7月、9月、11月)の15日で、2ヶ月分がまとめて振り込まれます。
障害年金が不支給になる理由と対処法
障害年金が不支給になる主な理由には以下のようなものがあります:
- 保険料納付要件を満たしていない
- 対処法:特例措置や救済措置(20歳前の傷病など)に該当するか確認
- 障害等級に該当しない
- 対処法:再審査請求や事後重症請求、適切な医師による診断書の作成
- 初診日の証明ができない
- 対処法:初診時の診療録(カルテ)、薬の処方箋、診療明細書などを探す
- 提出書類に不備がある
- 対処法:年金事務所に相談し、必要書類を正確に揃える
不支給決定に納得がいかない場合は、結果が通知された日の翌日から3か月以内に「審査請求」を行うことができます。審査請求でも却下された場合は、さらに「再審査請求」を行うことも可能です。
障害年金と他の制度の併用
障害年金は、以下のような他の制度と併用することができます:
1. 傷病手当金
会社員が病気やケガで休業する場合に健康保険から支給される手当金です。障害年金と傷病手当金を同時に受け取る場合、調整が行われ、通常は高い方の給付が優先されます。
2. 労災保険
業務中や通勤中の事故によるケガや病気の場合は、労災保険からの給付を受けられます。障害年金と労災保険の休業補償給付を同時に受け取る場合も調整が行われます。
3. 生活保護
障害年金だけでは生活費が足りない場合、生活保護を申請することができます。ただし、障害年金は収入として計算されるため、その分生活保護費は減額されます。
4. 障害者手帳による各種優遇制度
障害者手帳(身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳)を取得すると、税金の控除や公共料金の割引、公共交通機関の運賃割引などの優遇措置を受けられます。
障害年金に関するよくある質問
Q1: 障害年金は課税対象になりますか?
A: 障害基礎年金は非課税ですが、障害厚生年金は雑所得として課税対象となります。ただし、障害厚生年金のうち障害基礎年金に相当する部分は非課税です。
Q2: 働いていても障害年金は受け取れますか?
A: はい、障害年金は就労の有無や収入の多少にかかわらず受給できます。ただし、障害等級に該当する状態であることが前提です。
Q3: 障害年金を受給中に症状が改善した場合はどうなりますか?
A: 定期的に実施される障害状態確認(更新)で障害等級に該当しなくなったと判断された場合、年金の支給は停止されます。ただし、症状が再度悪化した場合は「障害年金の支給停止事由消滅届」を提出することで、再び受給できる可能性があります。
Q4: 精神疾患でも障害年金は受け取れますか?
A: はい、うつ病や統合失調症、発達障害など、精神疾患による障害も対象です。ただし、日常生活や就労にどの程度支障があるかという観点から審査されます。
Q5: 障害年金の申請は遡って行えますか?
A: 原則として、障害年金の請求は遡って行うことはできませんが、例外的に初診日から5年以内であれば、請求日の5年前までさかのぼって受け取ることができます(時効特例)。
まとめ:専門家に相談するメリット
障害年金の申請は手続きが複雑で、書類の準備や障害状態の証明など専門的な知識が必要です。年金事務所での無料相談も可能ですが、個々の状況に合わせた詳細なアドバイスを受けるには、社会保険労務士などの専門家に相談するメリットがあります。
特に以下のようなケースでは専門家の支援が有効です:
- 初診日の特定が難しい
- 障害等級に該当するか判断が難しい
- 過去に不支給となり再申請を検討している
- 診断書の作成を依頼する医師との調整が必要
専門家に依頼する場合の費用は、初回相談料が5,000円〜10,000円程度、申請手続きの代行料が30,000円〜80,000円程度が一般的です。ただし、成功報酬制を採用している事務所もあります。
障害年金は、障害を持つ方とその家族の生活を支える重要な制度です。自分が受給資格を持っているかどうか、まずは年金事務所や専門家に相談してみることをおすすめします。早めの相談と正確な情報収集が、スムーズな受給につながります。